星の椅子に腰かけ 流れるままの時間の粒子を浴び 誰もいないという ひびきからはじまる水面の波紋が 夢見るまま紅の空へ続いていくのを 永遠に眺めながら なつかしいことばは やさしい手に撫でられて そらの深みへと吹かれてゆく 水の祈りのことば 成就しないことば にじんでゆく人の 記憶のなかの人のにじみ 夏についてわたしが知るすべてが そこでおわっているはずの蜜柑畑で わたしはいつまでも あなたを待っているよ