‐目線‐
士狼(銀)

上からの目線は脅迫です
同じ目線は安心です
下からの目線は甘えです



   小さな枝の陰に、
   小さな巣を作った、
   小さな鳥が、
   小さな卵を温めて、
   小さな雛が四羽生まれました。

   親が巣に足をかける側から、
   1・2・3・4と番号をつけましょう。

   下からの目線が有効な1番は、
   親の愛情を受けてまるまると育ちます。
   2番も目線を利用してまずまず育ちます。
   3番はそろそろ痩せてきて、
   4番の泣き声はどんどん小さくなります。

   成長するにつれて、
   1番と2番を守るために生まれてきた、
   痩せこけた3番と4番は、
   必然的に巣から落ちるのです。
   小さな鳥はリフォームをしないので、
   2番が死ぬと3番は生き残れます。


   僕が今まで拾っては、
   自然に還してきた彼らは、
   本来ならば死ぬはずだったのです。
   偶然に落ちたのではなく、
   必然にはじき出されていたのです。
   きっと誰かの糧になるはずだったのです。

   先生。
   僕は間違っていたのでしょうか、
   と半ば虚ろになりながら尋ねると、

   あなたのその質問が間違っています。
   と先生は言った。


   必然を曲げた僕に断罪が下りる日はいつ来るのでしょうか。




上からの目線は脅迫です
同じ目線は安心です
下からの目線は甘えです



未詩・独白 ‐目線‐ Copyright 士狼(銀) 2007-04-16 19:31:58
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