乾電池が見た夢
ぽえむ君

乾電池は夢を見ていた
水の上をぷかぷかと
浮きながら流れてゆく夢だった
ただ水の力だけで動くことが
不思議に思った
乾電池にとって
何かを動かすには
電気しかないと思っていた
夢の中では
自分がどんどんと流されてゆく
電気を流すことはあっても
流されることのない乾電池は
とても不安になった
水の流れも速くなっている
もしかしたら
滝に落とされるかもしれない
そう思ったとき
乾電池は夢から逃れ
いつものモーターを回す日常へと
戻っていった
乾電池は船の模型に取り付けられた
スクリューにつながっていることを
今でも知らない


自由詩 乾電池が見た夢 Copyright ぽえむ君 2007-04-16 14:44:28
notebook Home 戻る