小春景色
チグトセ



昼寝でもしたくなるぽかぽか陽気だ
ぽかぽか陽気に抱かれた町で
電信柱の黒い毛に結ばれた商店街の
のんびりとしたアスファルト
のんびりとしたアスファルトの上で
サディストがマゾッホを扼殺し
春カラーの服を着た僕は
酒屋の二階の自分の部屋の
開け放した窓に腰掛けその光景を見物していた
やがて警察が到着し
花見のあいまに呼び出しくらって到着したので
体中に花びらが張り付いていた
大事な現場に花びらが
次々舞って落ちるので
鑑識は「ちょっとお、困りますよお」
と困ったように笑い
警察は「いやあ、ごめんねえ」
と頭を掻くと
また花びらがひらひら落ちる

ばっと舞ってもわっと、
商店街中の花びらが
いっせいに束の間、
商店街を桃色に染め、感無量
散るほどに美しい、ああ、
おばあちゃんたちは立ちすくんで喜んで
これが春
そう、これが春なんだ





空中マンボウの形をした飛行船は
大儀い国際カメラの宣伝をしながらも
実はそのくせテロリストたちの巣窟で
(公に花見をすることはできない、ということで)
中にひしめき合っていて
狭いのでお山座りをして
花見が恋しくて一人が泣きはじめると
狭いので、ほとんどみんなもらい泣き
もらい泣かなかった
テロリストの頭のかたい偉い人たちは
先程のサディストをビーム兵器で爆撃

何かが間違っている気がするけれど
何やらエンディングっぽい壮大なBGMが
流れはじめたので
ああ、納得、大団円

マンボウの口から唐突に
何の説明もなく
花びらが噴射され、テロップ
おばあちゃんたちが決然とした表情で
力強い未来への一歩を踏みしめる
感動的なハッピーエンド、ああ
そう、
これが春
これが春なんだ


自由詩 小春景色 Copyright チグトセ 2007-04-14 17:26:32
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