「春風」
ソティロ

「春風」






よく晴れた
からだごと奪うような
つよい風、の
朝に
最上階へ昇る
屋上は閉まっているから





エレベータに乗っている間
次の季節や
その先を
思う
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
もう、
冬は嫌だ





春で、終わる
もう桜も散りだしてしまったなぁ





エレベータが開いて
ふと見渡すと
空が
真っ青のグラデーションで
春の特別な日の青空は
透明度の高い海水
に似る

一瞬、眩しさに
目を細めて
吸い込まれるように 飛んで

ぼくは
それでどこかへ
ここではないどこかへ
行ける
深く
そんなオブセッション、の甘み、に
抗うだけの、
ちからもなく
今日





でもあいにく今日は
そんなこともなく
遠くの方で
薄汚い埃が舞って
低空に雲も多く
伸ばしたような
水彩の水色
捨ててしまった、絵の具の





そして
ずいぶん前から
詩を知ってしまっていた





ごうごうと
つよい風が
建物に
打ち付けていた





ぼくは救われなくて
少しわらった







自由詩 「春風」 Copyright ソティロ 2007-04-14 17:08:23
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