失敗の日
んなこたーない

午前4時のハレンチな姿態。
ハネムーンベイビー、重力のままに落下する。
あなたが唾を吐く、Strangerの横顔と、
ぼくが石を投げつける、Pavementの悪い予感。
広大なひろがりの空虚のなかで、ぼくらは深海魚を真似ている。
もしもあなたがテロリストのブラックコーヒーだとしたら、
もしもぼくが目隠しされたサディストの歯軋りだとしたら……

冷たい夏の灰色の夜明け。
伝説がスローモーションで幕を開ける。
ぼくのいない舞台の上で、
あなたのスカートの裾からチョコレイト色の素足が覗く。
あなたのいない舞台の上で、
ぼくは「アンリ・ブリュラールの生涯」を半日の間に読破する。

HereでもThereでもEverywhereでもない、
欠乏と違和感の午前4時。
腐った花びらが舞い落ちる不眠のベッドのシーツの波には、
シャンデリアが粉々に砕けている。
ぼくらは浮上を試みる。
涙ぐましい陽光を透かして、ついえたはずの期待に胸を膨らませて。

そのためだけにそこにあるものと、
そのためにそこだけにあるものを、
ぼくもあなたも、あまりに多く見落としてきた。
ぼくらはそれを知っている。
そして、もしもぼくらが偉人になれるとしたら、それ以外に理由はないことも。


自由詩 失敗の日 Copyright んなこたーない 2007-04-13 19:10:55
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