「月影」 (青年詩片)
ベンジャミン
幾多の苦難を
一つ一つ思い出に変えながら
今日も夜空には過去が浮かび
月影は淋しさをなぞるように
きれいな円を描いている
たとえば
「さよなら」の四文字を
どの星にあてはめれば
辛い心が安まるだろうかとか
「こうかい」の四文字を
どの星にあてはめれば
これから先に進めるだろうかとか
そんなときにも
暗闇をくりぬくように輝く
あの月影はまるで
一つ確かな答えのように
今日も在り続ける
たとえどんなに迷い
何度くじけそうになっても
繰り返される日々はまるで
一つの大きな輪を描くように
今につながってゆくのだ
あの月影の
黄色い輪郭を眺めながら
そんな美しさにひたれる刹那を
心から愛しく思うことも