笑った暴動
なかがわひろか

一人の少年が少し前を歩いている友達に
石を投げた
石は彼の頭にぶつかって
その友達はとても痛がった
その様子を見た少年は
腹を抱えて笑った

石をぶつけられた友達は
少年に掴みかかった
少年はまだ大笑いしていた
その大きな笑った口に
友達は自分の拳を入り込ませた

遠くから見るとまるで二人は
じゃれあっているように思えた
二人はお互いに殴り合って
殴り合って
殴り合って
少しずつ体がバラバラになった
それでも殴りあって
殴り合って
お互いが粉々になるまで
殴りあった

ご飯の時間になったので
お母さんたちが呼びに来たときには
もう少年たちの姿は跡形もなく
粉々になった骨だけが残った

お母さんたちはお互いに顔を見合わせて
しょうがない子たちねと笑って
その粉を拾い集めて
お家に帰ってご飯の上にかけて
食べた

(「笑った暴動」)


自由詩 笑った暴動 Copyright なかがわひろか 2007-04-12 16:20:57
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