記憶
はな 


すきとおったなつを
かんむりにして
あなたのひたいに ひやりと 付けると
ちゃんとかぶせて と
あなたは脹れた


ゆうだちがきて
あなたは
地面にあたる むすうの
流れ星のようなあめを見る



息苦しいのは
気温が高すぎるせい、だろうか
ソーダ水を
ゆびさきですこしずつととのえて
かいがら、
ちいさな海を抱いて

眠っているあなたのみみに当てると
ざーん ざーんと
しあわせそうにつぶやくので
そのままにして
僕も眠る


いつも見えたもののそばに
もっと ほこらしいものがねころんでいた きがする
風が強くて
眩しくて見えずに



ゆびおりかぞえるのはかんたんで
取りこぼした時間の
砂になって足元を よごす
通りがかった風をつかまえて
カーテンレールに そっと掛ける




今日 とうきょうのまちと
からだを重ねた
あなたにするみたいに
ゆっくりと優しく
そうすると
深く
よるのざっとうにひかりを失くして なお
アスファルトに映る
口のわるいあなたみたいな
空のかげが
あちらこちらに あると知る



未詩・独白 記憶 Copyright はな  2007-04-11 22:15:12
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