トルソー
はらだまさる







まっ赤で
おおきな歌に
くだかれた夕暮れの
かけらをよせあつめて
ぼくはトルソーを
つくった


奄美の島ざらめを
たくさん、うみにながしたら
おおきな涙になったから
おおきな歌より
おおきな涙を
本にして


ぼくは
夕暮れでつくった
トルソーに
おおきな声で
よんで聴かせた


のらネコが
空のさかなを
おいかけて、二匹とんでゆく
歯に挟まったサンゴの砂と
恥じらいと胸の軋みを
選り分けて

なんにも
話してくれない
トルソーに


かなしみを
教えてやるんだ















自由詩 トルソー Copyright はらだまさる 2007-04-11 19:00:46
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