見ていた
たもつ

窓にはまった網戸を見ていた
それからちゃぶ台の上のスプーン
同じ方向に三本並べられていた
これママの、これパパの、これぼくの
暑かったと思う
そのことで汗もかいていたと思う
数年経って
鉛筆で自分の名前を初めて書いた
平仮名を全部覚えた後か
それともまだ文字を習う前のことか
忘れてしまったけれど
もう違う家に住んでいた
数回書いてそれから
鉛筆で汚れた手を見ていたと思う


自由詩 見ていた Copyright たもつ 2007-04-11 15:21:43
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