春宵幻想
未有花

春愁に耽る窓辺に
春の宵は更けて行く
何もかも朧に映るのは
この宵の不可思議のなせる業
月のおもても遙かな山の端も
朧に霞み夢心地にたゆたう
私もまた春宵の魔法に魅せられ
桜花の乱舞するこの宵に佇む
まるで美しく妖艶な女に魅入られ
魂が離れてしまいそうな想いにかられる
ふと十二単の舞姫の幻影を見る
華やかな殿上人の宴の幻影を見る
これも春宵のまやかしか それとも
時を経て私の前に現れた蜃気楼か
はたまた夜桜の精霊の化身なのか
いずれにせよこれはこの宵のなせわざ
桜のひとひらの朧の夢・・・



自由詩 春宵幻想 Copyright 未有花 2007-04-11 10:44:43
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