たとえばそれが幻でも
アマル・シャタカ

恋するたびに砕けた欠片を
涙でそっと集めて抱いて
鋭利な言葉で裂かれる思い
すべてこの手で集めきるには
わたしの心はあまりにも拙い
誰かの世界に埋め込まれたあなたの愛は
今日もわたしを彷徨わせる
いつの日かたどり着いてみせるからと
星に流したあの日の決意は
夜明けとともに霞んで消える
咳き込み吐き出したものは汚泥
信じきることができなかったあの頃の瑕
世界の果てはわたしの世界の中心で
暴流の中を叫びながら生きてゆく
わたしの手を離してはいけない
わたしもあなたの手を放さぬから
書き溜めた欠片を二人の手にからめて
もう、放さぬからと
そこがたとえ氷の最下層でも二人なら暖めあえる
眠れないなら子守唄を歌ってあげる
音のない世界なら口付けて伝えよう
いつかあなたにたどり着く
その日が来るまでわたしはここで
誰かの中のあなたの欠片を
道標にして生きているから


自由詩 たとえばそれが幻でも Copyright アマル・シャタカ 2007-04-11 01:45:29
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