巨人の恋
なかがわひろか
強く握り締めると壊れてしまって
口付けを交わそうとすると首の骨を折ってしまって
優しく愛撫しようとすると
皮膚がべりっとめくれてしまって
そんな風になったあなたを
私はきっと愛することはできなくなって
地面に叩きつけて
バラバラに飛び散ったあなたを
汚らしい汚らしいと
思ってしまうでしょう
それでもあなたを愛してしまったら
あなたに恋焦がれてしまったら
私は自分を止められるでしょうか
どうぞ逃げてください
私はきっと追いかけるでしょう
どうか逃げてください
私はきっと追いついてしまうでしょうが
(「巨人の恋」)