空と器
木立 悟





低い空の音のなかで
部屋は明るくふるえている
明るさはやがて点になり
糸にほどけて消えてゆく
音はずっと鳴りつづけている
空はさらに低くなる


底の歪んだ容れものが
ゆうるりとまぶしく動いている
雲は重なり 覆いながら
はじまりの色を残している
音は容れものの底に積もり
まぶしさと動きは増してゆく


静かな風が横たわる
丘の上に白く五つ
強ばる枝に守られている
風の脚は 午後と同じ息をしている
まっすぐに伸び
重なることなく五つふるえる


空はさらに低くなり
芽はひとくち青をついばむ
容れものはさらにまぶしくなり
音は音を浴びてはあふれる
遠い歪み さらに遠い歪みに応えて
音は波の輪を描きつづける
















自由詩 空と器 Copyright 木立 悟 2007-04-10 23:42:31
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