陽だまりの幸せ
朽木 裕

ティースプーンで幸せをひとすくい
お味は如何かしら?

きらきらスプーンの上で溶けていく優しさ
粗目の砂糖に緩火の太陽
ブルーベリィの熱い紅茶

築40年の古アパートの一室
取り壊しの決まったカフェ

ぎし、と軋む床は古びて
並べられた北欧雑貨

鹿のかたちのクッキーはぴりりと生姜味

美味しいね
可愛いね
こういうのいいね
いつかやれたらいいね

あたしねー貸本屋、やりたいんだ
いいなぁ通っちゃうよ
二人でさ、なんでも出来るよね
出来るよ、きっと
部屋の中に写真を沢山飾りたいな
ラボみたいなの、
そうそうそれ

あたしより20センチ以上背の高い彼女と
彼女より20センチ以上背の低いあたしは
それぞれ愛用のカメラを構えて夢を語る

惜しげもないその空想は
いつか
いつの日か実を結ぶのだ

あたしはそう信じてる


自由詩 陽だまりの幸せ Copyright 朽木 裕 2007-04-10 23:15:15
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