無題
キメラ



うがぁ
って
さけぶと
みみたぶから
かさぶたの神
おりたつ
しろいゆきは
まだ室内
せんたくものにも
とおい記憶を
もたらした
しんまでこおる
見知らぬまちから
夕食がとどく
ゆげの童話をひらく
ゆきおと消えて
あかるい地下室
家族計画
いびつな小瓶
ならべましょ
ほうら
焼け跡から3000フィート
核の結晶
テラのなみだは
ももいろ灯籠に
おとしこむ
最小のまぼろし
夜叉の駿足
プレパラートから
ひばりこぼれ
火のなかで願う
熱狂的な結合と
そらをあきらめた
水玉もようの火曜日にも
ゆるやかに繋ぐ
アメーバたちにも
おつかれさん

ねむけがやってきたなら
やっと終わりがやってくる
温かな手でぬくぬくと眠ったなら
きっと脅かすものは小さくなり
もっともっと小さくする
胸のぬくもりのままに
愛をさえずり月の湖から青い鳥がやってくる
嘴からは夢の色がふり
湖を愛の色彩で埋め尽くす
指先で熱を契りながら流れるくうきは
宇宙を浄化し続ける唇の疎ましいあこがれだ


すこしだけでいいから綺麗なものに触れたい
哀しみよりも
美しい言葉を
ささやきながら
絶望のうえに
あたらしい記念碑をうちたてよ
呼吸と心臓はちぐはぐになることもないまま
トランキライザーと食塩とアルコールが
10倍を見せた過去からの継続の欠片すらも
疑わしいばかりの巨大な柱をぐるぐるとまわり
バターすら収穫できやしない
うすら寝ぼけたクソばかりの腐りきった主導権に
一ミリの呵責もなく平穏に隠されている権化を
己の尻尾を振りながら過ごす
一生
一生よ
なんたる敗退のざまだ
核兵器などいつかおとすなら今そこでやってみろ
うんざりだ
うんざりだ
できやしないじゃないか
化学兵器をオレによこせ
道徳をけちらし
最後の手綱をもっていまここで
やってやる

あははは
醜い汚い狡い狡い
同調は地獄のように苦痛である
それはまた
逃れられない甘美を内包したように
見せかけるからだ
だったら空虚はなんだ
空虚よ
メゾンに暮らす
オレはキメラなどではなく
本名があるようにだ

オレもまた
一続きの輪を無理矢理に外壁から眺めることに没頭していた
地上を統べる霊長類とレッテルで凝り固まったヘドロの横顔
太陽にも馴染まず月に背中を射られるこころの波状を記した著作が
また夜につみ上がるなら、一体どこがどう違うのか誰も説明などできるものか?
空虚の表情は
印象は
それはそれは暖かい全てを瞬く間に血地獄に突き落とす
ウスバカゲロウ
凍り付く夜から
救いをもとめる指がもげ、ひかりを見つめる眼球は潰れ
声帯は水の元素自体が消滅し有りとあらゆる四方八方から歯車がぶっ殺しにくる
酷く恐ろしいものがオレにまとわりついてくる
ひたしい闇の魔王か
そんなもんじゃない
なんだ
この胸を斬り裂くような空虚は
酒はゆるく脳細胞に広がり広がる
広大な景色が幻覚のように目の前に広がる
この胸を巣くうものの正体が限りなく残忍で残酷なものだったなら幾分の救いもあるだろうに
人の英知が哀しみを作った
模倣な遊牧のままにはエゴは留まることなど出来るはずもなく
人は人を人となづけながら一瞬ごとに変化を繰り返す
不気味で嫌悪を吐き出しながら地上の清掃員を装う
誕生の記憶まで瞬間に巻き戻るように
きのうや一昨日のなんと意味のなさないことだろう
首をきって転がす
そんなに驚く要素じゃないように
世界の中の一続きの巨大なアルファベットを組み立てている

夜にはぐれた無声のへやでまたひとつ
かわり逝く形
キラキラと…
ちがう
ちがうなんなんだろうこの空虚は
おそろしい空虚がオレを渦巻いて言葉をかき消す
心音が手に取るように伝わり鼓動がいびつを連れてくる
火を放ち焼けただれるまえに
手を翳したものが規定通りに崩れさってゆく
ゴムチューブばかりが感に触る
さっきから何を考えていた?
伸縮率など人のこころのようにどうでもよく伸びるから
巻き付く夜の濃度を簡単には押さえられない
本末転倒ミイラとりがミイラ
エアコンのファンだけがまるで変わらないように
夜に轟いている




自由詩 無題 Copyright キメラ 2007-04-10 20:07:03
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