*金属は湿っている*
かおる


ブーン、ブーン、ブーン、ブーン・・・・

風に葬られ、散り急ぐ花は
雪の女王に見初められたのは確かで
陽射しは雲の彼方
雷雲と駆け引きをしている

パァッと潔く消えてしまえば、良かったのに

(あなたの笑顔が
(崩れ落ちてくる空に
(壊れてしまった蛇口のように
(ピチョン、ピチョンと浮かんで

ちょきちょきと太陽を切り刻み
大地から灰色緑を呼び起こし、
遠くタクラマカン砂漠から
ざらついた想いまでも届けてくれる

グ、グゥっと春に共鳴するはずの音叉は
正しいおとを取り損ね、涙を流したよう
待ちぼうけを喰っちゃった、湿った気分は
孤独な寒さばかりをぶり返す

(ジャンケンポンで後だしをしたのはあたし)

幼子のように鳴き叫んでも
手に出来なかった幻影が
零れ落ちていく

それでも
季節がチューニングした今朝は
ガラス窓に黄色のあとを残し
蒼い空を描いていった

ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、ブ・・・・


自由詩 *金属は湿っている* Copyright かおる 2007-04-10 17:16:45
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