ラジオと羽虫
はらだまさる
1
・
・
羽虫の亡骸が
そらに・うかんでる
・
・
・
親指と
人差・指でつまむ・
・コス・モスを
微・調整して
燃やす、
・きみの泣き声は
水爆のように
あ・らゆる
気体・を
・
・
・
核融合
させた
・
羽虫が
うかんでいる
・
2
途中峠を越えて
静原を抜ける
エアコンの
つぶれた車で
冬を越し
春が来ると
どうしても
ニヤけてしまう
カセット・
テープレコーダーも
壊れたまんまだが
AMラジオから
ビバルディーが
聴こえる
川端通り沿いの
桜は見事で
俺たちは
車のハザードを
焚いて
写真を撮る
毎年撮ってるのに
馬鹿みたいに
はしゃいで
3
田村隆一の
『1999』と
デザイナーの友達が
趣味でつくったHPが取上げられ
記事にされた雑誌を買った
妬けるよ
だけど
心地良い嫉妬だ
4
・帰り道、
車も ・
喜んでる・ね
と、
言う
・
・ ラジオを
チューニン・グする
きみの・
指先・が
・
止・まり
ふ・たりの
息も
止まっ・た
階段
を
降りて
ゆく
よう
に
・
・
・
ほ
ほえ
む
しか
知ら
ない
俺たち
の
世・界が
いまま・で
ち・っとも
・ 動いて
いなかったことを
・
知った
・
きみの
・
なみだに
おちてきた
羽虫、
・
か・なしみを
わら・え
わ・らえ
ラジオの
お・とに
ふる・える
なみだに
うかんだ・
羽虫よ
・