地下の中で入学式が行なわれている
これから一人前の石になるために
小さな石たちがコロコロと
地面の中を転がってくる
周りの大きな石たちが大きな拍手で
彼らを迎えている
巨大な石の挨拶は退屈なのだろう
そわそわしたりキョロキョロしたり
すでに走り回っている石もいる
重い空気に慣れていなくて
泣いてしまっている石もいる
それでも一人一人の石が呼ばれると
元気よく返事をするのがすがすがしい
初めて渡された石としての教科書を
うれしそうに眺めている
なかなか式がスムーズに進まないのは
石同士が友だちを作りはじめているから
その地上では
菜の花が春の風に揺られている