フェンス
1486 106

卒業を間近に控えた僕らは
夜の学校に忍び込んだ
校庭のフェンスを飛び越えて
誰もいないグラウンドを走り回った

大人と子どもの隔たりは
いつの間にか消えてしまった
僕は助走が下手だから
なかなか飛び出せないでいる

プールサイドに寝転がって
過ぎ去りし思い出を数えてみた
僕らはいくつもの月日を越えて
もう戻れない場所まで来ていた

理想と現実の隔たりは
大きくなるにつれて増していく
僕は諦めるのが下手だから
いつまでもしがみ付いている

あぁ夢を語りあった友よ
そんなに疲れた顔をしないで
何かを我慢して生きる事は
そんなに格好良い事なのかな?

別れの時間が迫って僕は
泣かないように夜空を見上げた
悲しみをいくつも乗り越えるうちに
僕らは少しずつ忘れていくんだ


自由詩 フェンス Copyright 1486 106 2007-04-09 10:37:19
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