コカ・コーラ瓶ボトル
九谷夏紀

コカ・コーラの瓶ボトルを
一日一本並べていく
コカ・コーラは好きじゃない
だから中身は飲まないまま
飾っていけてちょうどいい

たまには飲む日もあって
少し飲んだもの
半分くらい飲んでもういらないって
そんなものもそのまま並べる
願をかけて空にしたボトル
やけっぱちで一気飲みしたボトル
苛立って割ってしまって半分になったボトル
全部が私だから
そのまんま
横に52本並べて
またすぐ下にも同じく52本並べていって
さらにその下にも

それが7列になったときには
だいたい一年経っているということ

規則的に並べることによって
浮き出される不規則性

私の感情が揺れ動くから
私の日常が定まらないから生まれる
規則どおりにいかないうつくしさ

ありきたりを
芸術として存在させる
そんなひねりは
いろんな人が持ち歩いているから
まっしろになってしまった壁も
だらだらと続く変わらない日々も
出会いさえあればいつでも飾れる

今日からは
並べたコカ・コーラの瓶ボトルを
一日一本ずつ空にしていくつもり
きれいに洗って
栓をしたままのものは飲むかもしれなくって
あるいは少しだけ飲むかもしれなくって
からっぽな瓶は少し不透明なただの瓶になって
だからこそなんか良いのかもしれなくって
発見は偶然の行動に潜んでいたりするから



自由詩 コカ・コーラ瓶ボトル Copyright 九谷夏紀 2007-04-08 22:02:39
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