リプロダクト
ふう

  


正距カトラリー。ダイニングまでがあまりに遠い。  
右目を庇いながら脚を交える。椅子の位置は知っていた。 
跫音と確かな意識で歩測している、という感覚に慣れたころ 
今度は見えるはずの左目が疎ましく思えるのだから不思議だ。
 
上空へ巻き上がる螺旋階段。その中空でプレートを覗く。 
曝した両手は降られて、地形は遥かで歪んだ。
いつか見た海豹の群れが横切り、切り裂けた雲は巨大な影を曳いている。  
息吹よ深く。触手を伸ばす午後、視界空腹にて。日没は近い。 
 




自由詩 リプロダクト Copyright ふう 2007-04-08 15:23:46
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