Apr.set
プテラノドン

 夕方、雨が降っていた。遠くの空は
燃えるように赤かった。その時、僕は
失われつつある詩の中で、電話ボックスに
駆け込み雨宿りをしているか、永遠に続く
右折渋滞の車内にいると思った。
しかし本当は、車内に漂う生温かい空気と
紫色の煙と、それだけじゃなく―今となっては
解読不明な製造方法によって建築された
遺産たちのような、再生不能な、春の気配を
複製しようと考えあぐねていた。

        


自由詩 Apr.set Copyright プテラノドン 2007-04-07 23:42:01
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