噛み付く電話
1486 106

蝿が鼓膜に飛び込んできた
耐え切れず馬を送り込んだ
喧嘩はいつしか粗探しに変わり
言葉の刺は鋭さを増してゆく

ていうかその台詞何百回目?
耳たぶに蛸が噛み付いてきた
千切られまいと躍起になって
導火線に火を点けてしまった

感情を忘れるほどの戦いは
別れるという合意で終息した
歯形が濡れていると気付いたのは
無言の空間に包まれた後だった

こうして積み木の城は崩れ去り
王女は眠りの森に消えた
口付けすれば生き返るかな?
受話器越しでもそれは届くかな?

メルヘンな空想は終わりにしよう
友達に話しても責められるだけさ
今度王国を創る時までに
謝るというコマンドを覚えよう


自由詩 噛み付く電話 Copyright 1486 106 2007-04-07 14:39:32
notebook Home