数合わせ子
なかがわひろか

子どもを三人殺したと
自慢する男がいた

あたしゃ子どもを三人産んだよ
そういった小太りの女がいた

子どもを三人殺した男は
一人ずつどんな風に殺したのか
丁寧に説明していった

子どもを三人産んだ小太りの女は
どんな男の子どもを産んだのか
一人一人話していった

男は
試しにもう一人産んでみないか、と言った

女は
三人も四人も大して変わりやしない、と同意した

男と女は交じり合って
ちょうど十ヶ月後に
双子の赤ちゃんが産まれた

女は言う
あたしゃ四人目が欲しかっただけさ
五人なんていらない

男は言う
じゃあ数をそろえよう

そう言って
先に取り出された方の赤ちゃんを
今までよりももっとひどいやり方で殺した

男は言った
俺は四人の子どもを殺したことがあるぜ

小太りの女は言った
あたしゃ四人の子どもを産んだことがあるのさ

二人の子どもの数はこれでまたそろった

(「数合わせ子」)


自由詩 数合わせ子 Copyright なかがわひろか 2007-04-07 01:53:23
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