呼吸
わら

おまえの与えてくれる苦痛は
いつも、生ぬるい


絶望なんていう造形は
そんな光景じゃ、描写しきれやしないんだ


愛したことの罪と罰だなんて思考は
夜の帰り道じゃ、ちっぽけだ


寒さに凍え、ポケットに手をつっこんだ季節も
もうすぐ終わりをむかえようとしている





ガードレールにもたれかかって覗きこむ
ケータイのディスプレイは
行けそうで行けない
光のセカイへの扉のように照らされていて

なぜか、そんな、
冬の寒さににじむような景色が好きだった


この冷たい夜でなら、
ぼくは生きてゆけると、ぼんやり思っていた





月並みな花が咲くころ、
ぼくは、大手をふって歩けるのかな?


想像なんて、
いまは、できやしないけど、

きっと、
想像以上に、現実は、
ぼくらを前へと押し出していくんだ


あたまの中の思想なんて
びっくりするほど他愛もなくて


なにも、まとまっちゃいないのに、
自然の息吹は、その呼吸をやめやしないからね


気遅れして、
つまづきそうな ぼくは、

そんなふうにしながら、
生きてるって歩みを飲み込んでいくんだろう




ほら、もう、

着込んだ今の身なりのままじゃ、
カラダは、
汗ばみはじめるようになった


















自由詩 呼吸 Copyright わら 2007-04-06 17:11:30
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