なたね梅雨
生田 稔






なたね梅雨、濡れ葉に皐月近づけり

緑に薄青き色を添えし衣着る娘立ちおれり

わずかに微笑みておれり

路に水流れ、曇り空、

夕餉の魚持ちてゆっくり歩む帰り道

灯ともし頃には、まだいとまあり


角には、犬いつものごと、大きく寝そべりて

声をかくれど知らぬさま

そのごとし質の犬にて、悪げなし

帰れど、わがほかに誰もなく、

静もりかえる部屋にいて、夕の支度などなすなり。





自由詩 なたね梅雨 Copyright 生田 稔 2007-04-06 10:03:49
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