畑の道にうつむく人 
服部 剛

毎日ともに働く人が 
あれやって 
これやって 
と 
目の前に仕事をばらまくので 

わらったふりで 
腰をかがめて 
せっせ せっせ と 
ひろってく 

そのうち 
堪忍袋の緒が切れて 

ひろい集めた仕事を束にして 
その人に思いきり 
投げ返してしまった 

あれやって 
これやって 
と 
悪気もなく 
人に仕事をばらまくその人を
もしも私の幼い娘と思うなら 

「 かわゆいものよ 」 

と思えたろうに 
今日のわたしは思えなかった

その夜 
疲れた顔で
家に帰ってテレビをつけると 
しるくはっとをかぶってうつむく人が 
モノクロの畑の道にあらわれて 

「 雨ニモ負ケズ・・・ 」

つぶやいた 





  * 宮沢賢治の詩「雨ニモ負ケズ」より引用。 





自由詩 畑の道にうつむく人  Copyright 服部 剛 2007-04-06 06:54:30
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