花化粧
シリ・カゲル
春雨を縫って
水滴を蹴って
走るひと箱の蒸気機関車
桜の里をぬけます
蒸気の機関車
舞い散る花びらが
水の仲立ちによって
「わたしピンクのペインティング」
そのまま走り続けて
あいまいな蒸気を吐き出して
渓谷を省略して
終点の街にたどり着けば
涙をぬぐう
僕の手の甲に
ひとひらの花びら
里の余熱が
ひんやりと
花冷えの僕をあたためる。
自由詩
花化粧
Copyright
シリ・カゲル
2007-04-05 22:01:03