色彩
松本 涼

無数の花びらたちが帯のように
川の両端を縁取りながら流れている

私は冷たい雨にかじかんだ手のひらで
傘を握り橋の上からそれを見ていた

けれど川にも街にも花びらにも色は無い
ふと見れば傘にも握る私の手のひらにも

全ての色はこの冷たい雨に流されて
川の底深くへと沈んでいったのだろう

そうして雨に濡れないものたちだけが
今夜どこかでひっそりと
色彩を守っているのだ

遠い日の暖かな食卓を囲むように


自由詩 色彩 Copyright 松本 涼 2007-04-05 02:39:28
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