fallen
三架月 眞名子

太陽の沈没

それは覚醒の合図

長い長い一夜の始まり

眠らない

さながらアタシは吸血鬼

近ごろ少々人間不信だ

もとから信じきってはいなかったけれど

今ではすべてが嘘色に

月の光すら鮮色を映せない

それなら自身を

信じれる唯一に仕立てあげようと

やっきになって前進してみたけれど

それさえも作りもののようで

誤魔化しもののようで

クダラナイ妄想に押し潰されてしまう

安息とは程遠い結果が生み落とされていた

本当は

アタシだって信じたい

信じきって愛しぬきたいのに

どうしてアナタはそれを許してくれないの?

塵を風に還すような簡単な決断を

どうして下してくれないの?

答えを先延ばすための愛の言葉はもう聞き飽きた

それでアタシは本当に愛されているの?

疑問符ばかりがむくむくと膨れ上がり

バランスを失った身体は

落下を拒めない

どこまでも深く

なによりも冷たく

空っぽの両手は虚しく空を切る

嗚呼

朝日はいつ顔を曝す?

暴力的な睡魔は

いつアタシの意識を奪ってくれる?

もうじゅうぶんだ

もうじゅうぶん彷徨ったじゃないか

そろそろまどろみに埋もれたい

アタシが欲するのは温かなミルクとベッド

それ以上は望まないから

今は望まないから


彼女は歌う

朝が来ない窓辺を求めている、と

そんな無責任なこと

嘘でも聞きたくなかった



自由詩 fallen Copyright 三架月 眞名子 2007-04-05 01:12:15
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