fallen
三架月 眞名子
太陽の沈没
それは覚醒の合図
長い長い一夜の始まり
眠らない
さながらアタシは吸血鬼
近ごろ少々人間不信だ
もとから信じきってはいなかったけれど
今ではすべてが嘘色に
月の光すら鮮色を映せない
それなら自身を
信じれる唯一に仕立てあげようと
やっきになって前進してみたけれど
それさえも作りもののようで
誤魔化しもののようで
クダラナイ妄想に押し潰されてしまう
安息とは程遠い結果が生み落とされていた
本当は
アタシだって信じたい
信じきって愛しぬきたいのに
どうしてアナタはそれを許してくれないの?
塵を風に還すような簡単な決断を
どうして下してくれないの?
答えを先延ばすための愛の言葉はもう聞き飽きた
それでアタシは本当に愛されているの?
疑問符ばかりがむくむくと膨れ上がり
バランスを失った身体は
落下を拒めない
どこまでも深く
なによりも冷たく
空っぽの両手は虚しく空を切る
嗚呼
朝日はいつ顔を曝す?
暴力的な睡魔は
いつアタシの意識を奪ってくれる?
もうじゅうぶんだ
もうじゅうぶん彷徨ったじゃないか
そろそろまどろみに埋もれたい
アタシが欲するのは温かなミルクとベッド
それ以上は望まないから
今は望まないから
彼女は歌う
朝が来ない窓辺を求めている、と
そんな無責任なこと
嘘でも聞きたくなかった