ひとりぼっちに、ならないように
たりぽん(大理 奔)

ひとりぼっちに
ならないように
鳴くことをおぼえた
あの日

どこまでも届けと
生まれてくる、こえ
書き付けられた
記憶ではなく
いま、あふれだす、こえ

ことばは、忘れないため
こえは、伝えるため

文字よりも先に
僕たちは鳴くことをおぼえた
伝えるために、うまれてくるものと
生まれてきた僕たちが
続いていくということ
紡いでいくということ

つたえて、つたえて
あなたがぼくの中で、

つたえて、つたえて
だれかの中で、

なくすことを怖がり
書き付けられた、きろくよりも
あなたのふるえるこえで
僕の中で咲く
胸の奥に灯る

鳴き声は忘れていくかもしれない
切なさや ぬくもりや 怒りを
深く、ぼんやりと産み落として


僕たちは鳴くことを知っている
誰もが鳴きながらいきていく
足の先からからだじゅうを、こえにかえながら
どこまでも届いて、きおくでも、きろくでもなく

ずっと、ずっと、こえを交わして
おたがいに、うまれあいながら
いま、あふれだす

いきているあなたから、こえ。
いきているわたしから、こえ。

続いていく
紡いでいく
ひとつづき
ひとりぼっちに
ならないように





自由詩 ひとりぼっちに、ならないように Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-04-04 23:01:29
notebook Home