春の雨
もも うさぎ
春の雨になりたい
あたし 春の雨になりたい
あなたはすぐに 春の砂にまとわれて
その嵐の中に
荒ぼうと揺する
小さなオルゴールの中に
こころ を 忘れてきたんだ
サティの音がする
雨に混じって
凪ぐ 涙
微かに
あの季節の向こう側に
帰る場所をみたの
未来の記憶だけを
頼りに探して
つかんだと思ったら
春の砂のように
さりゆくとて
なかない
曇りガラスの空も
そうっと洗い流す
あたし 春の雨になりたい
あなたの憂鬱を
長い夜を
朝靄のしんとした目覚めを
そばで ただ いとしい、と
頬を撫でる
春の雨でありたい
〜春の雨〜
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