春の雨
もも うさぎ

春の雨になりたい

あたし 春の雨になりたい



あなたはすぐに 春の砂にまとわれて
その嵐の中に すさぼうと揺する

小さなオルゴールの中に
こころ を 忘れてきたんだ

サティの音がする

雨に混じって



凪ぐ 涙
微かに



あの季節の向こう側に
帰る場所をみたの

未来の記憶だけを
頼りに探して


つかんだと思ったら

春の砂のように





さりゆくとて


なかない









曇りガラスの空も
そうっと洗い流す

あたし 春の雨になりたい








あなたの憂鬱を
長い夜を

朝靄のしんとした目覚めを



そばで ただ いとしい、と

頬を撫でる




春の雨でありたい











〜春の雨〜


自由詩 春の雨 Copyright もも うさぎ 2007-04-04 06:26:23
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