センター試験 前日の夜に
はじめ

 センター試験 前日の夜
 僕は父と試験会場である医大を下見しにやって来た
 白の車をただっ広い駐車場に止めると車から降りた
 大学内は無人だった
 外は手足顔が凍てつくほど寒く 僕は思わずフードを被った
 吐く息が星のようにキラキラとしていた
 僕達はツルツル滑る氷の張った地面を転ばないように慎重に歩いた
 校舎の前まで近づくと受験者専用の入り口を探し始めた
 しかし見つけた入口はどれも職員専用や学生専用のばかりで 結局車まで戻ってもう一つのただっ広い駐車場まで行かなければならなかった ここも職員と学生専用の駐車場だったのだ
 僕達は車道に出てもう一つの駐車場のある場所まで行くことにした この医大は広大な土地に付属施設が半端なくあって一周するだけでも大変な時間がかかるのだ で 例のもう一つの駐車場はここから裏側の場所にあるとキャンパスマップに載っていた 僕達は溜め息をついて裏側まで車を走らせた
 裏側に着いた頃から猛烈な吹雪が吹き始めた 僕は首元までジャンパーのジッパーを上げ入口を探し始めた
 しかしまたもや入口がありすぎて どれが受験者用の入口か分からなかった
 数十分猛吹雪の中探し回りながら二手に分かれていた父と再会すると 「あそこの看板に?センター試験受験者は看板の指示に従って校内にお入り下さい?と書いてあったぞ」と教えられた 僕達はその看板の所まで行ってみると なんと その場所は正門から表の駐車場を通ってしばらく歩いた場所だったのだ 僕達は内部まで入りすぎて最初に見落としていた表の駐車場からだいぶ離れた一番奥にある正門玄関の近くの看板の所まで来てしまったのだ 僕達は肩を落とし溜め息をついた 看板の指示に従い受験者用の入口まで行くと入口は閉まっていたが 入口の場所を確認できただけでも良かった 僕達は安心して帰路に着くことにした
 帰り 凍えきった体を暖める為にラーメンを食べた そして明日の合格祈願をする為に田舎道の脇に立つ小さな神社に寄ってお参りした 明日の試験に対する闘志が漲ってきた


自由詩 センター試験 前日の夜に Copyright はじめ 2007-04-04 06:08:12
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