スモーキン
チグトセ

「私は狂えるモンスターだ!」

と突然、君が叫び
13秒後

ああきっと、今聴いている音楽の影響なのだろうと
僕は理解し

もう一度テレビを見ようとした。
ちら、と横目で君を見てみると
さみしそうにじっとしていたので
少しだけ不安になったけど
そのうち楽しそうに体を揺らしはじめたので

よかった。


「爪なんて人を傷つけるだけでそれ以外のどんな役にも立ちはしないんだから無駄で……」


僕はどうにかテレビを見ようとしている
君はビニールの座布団の上で足の親指の爪を切る

パチン
パチン

パチン

そんな音が三十回以上も聞こえ
慌てて僕は君をとめ
君はそれを使って僕を引っ掻いたけど僕はもうすでに傷つけ、なかった。


「なんでさみしそうな顔するの?」
「別にしてないよ」


僕が煙草に火を点けると

君は部屋を出て行った

吸い込み
また吐き出し

泣いた。




自由詩 スモーキン Copyright チグトセ 2007-04-03 11:06:53
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