淡淡しい青空
はじめ

 スクランブル交差点の真ん中で仰向けになって倒れた
 人々は僕を避けるようにして交差点を渡っている
 信号が赤に変わった
 地獄を渡りきった人々は僕のその様子をじっと心配そうに見ている
 天国から遠ざかった人々は僕のその様子を見てニンマリとしている
 車道に変わり車が発進しようと思っても 僕が仰向けになって倒れているので 前に進めない
 しかも今は通勤・通学ラッシュだ
 歩道で開放感を噛み締めたり片隅でブルブル震えている人々は僕の一部始終を見ている
 耳をつんざくようなカークラクションの大群の襲撃が僕に向かって終わりが見えない程鳴らされた
 僕を囲むようにしていできたドーナツ状の車の群れは みんな昆虫の顔に見える 淡淡しい青空が眩しい 排気ガスが僕の周りから大量に噴き出し 人々は苦しくなって咳をした このまま全てガソリン使っちゃえばいいのに
 天国側の歩道にいる人々は困惑し 地獄側にいる人々は嘲笑った
 そんなことも知らない近くにあった車からドライバーが降りてきて 「何やっているんだ!!」怒鳴った しかし僕はそんなことは聞こえずに 地上の喧騒と淡淡しい青空の対比について考えを巡らせていた
 四方八方に渋滞が続き 警察が出動した 車の輪を食い破ってパトカーが三台 僕を囲むようにして止まった あの淡淡しい青空から見れば 早朝に咲く地上の花火が見れただろう
 僕は一人の警察官に起き上がらされそうになった すると僕はその警察官の腰から拳銃を抜き取り 警察官の魂向けて発泡した 警察官は吹き飛び 神様の元へ戻った 他5人の警察官も僕に向かって「銃を放せ!!」と叱責したけど五月蠅いので 5人まとめて撃ち殺した 辺りは騒然となり テレビ局やヘリコプターが飛んできて 生中継を始めた
 僕は銃を放り投げ 全身の力を抜き 淡淡しい青空をずっと眺めていた この後僕はどうなるか分かっている けどスクランブル交差点の真ん中で仰向けになって倒れるのも悪くないなと思った


自由詩 淡淡しい青空 Copyright はじめ 2007-04-03 06:08:53
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