姪がうまれてきた日
紫翠

姪がうまれてきた日
生まれてきてくれてありがとう、こんな喜びを運んでくれて
と、姉の姑さんが言った
生まれてきた子は、今二歳になって、私の名前も呼ぶようになった
こんなにも愛されて生まれてきた子供がいる
全ての幸せがこの子の上に降り注ぐようにと
私も祈るような気持ちでいる
この子のためなら、私のなけなしの幸福のいくらかを
あげたって構わないから
この世界の酷い事や怖い事からすべて
守ってあげたいと



ふと

こんなに望まれて
愛されて
私も生まれたんだろうか
なんて おもったりして
意外と そうだったりして


人はきっと誰しも
自分が望むように愛されることは めったにないから
寂しいけれど
自分が思うよりも愛されて生きているんじゃないだろうか
大好きな人に、そうでもない人にも、意外と愛されているんじゃないだろうか
現実は、自分が期待するほど甘くなくても
自分が怖れるほど、厳しくはなくて
存在を、只赦すような優しさがあると

だから ただ生きている それだけで
かけがえのないあなたへと
どこかで誰かが自分の幸福をかけても
あなたの行く道にいつも幸せが降るようにと
祈っているよ きっと きっと


未詩・独白 姪がうまれてきた日 Copyright 紫翠 2007-04-02 15:33:46
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