左手の指輪
なかがわひろか

あなたにもらった指輪が
指から抜けなくなりました

そう言うとあなたは
ドスンと私の指を切り落とし
そっと指輪を抜き取って
大事そうに血をぬぐいました

優しいあなたは
きっとまた
私の指をくっつけてくれるだろうと
私はそう思っていましたが

あなたは愛おしそうに
指輪を見つめながら
そのまま去っていきました

私は右手で指の泥を落として
また元の位置に指を戻しました

相変わらず不器用な私です
少しいびつになった指を見て
私は少し
笑ってしまいました

(「左手の指輪」)


自由詩 左手の指輪 Copyright なかがわひろか 2007-04-02 03:02:50
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