バス停から玄関まで
七味とうがらし

取引先と切れた
親友が転勤で遠くに行った
母が再入院した
そして今、
花見をした帰り

前を歩くわが妻
うまくいけば
子ができて
うまくいけば
その子は老いた妻を
今の私と母のようになんて


今、
ふいに雨が立ち
クリークに桜をせせらぎ
黙々と
くすぶった月がにおい立つなか
君は
タイヤのしぶき去る音に
「タクシーに乗ればよかったね」と

わらっている


とにかく今、
バス停から玄関まで
道の端の白線の上だけを歩く
今はとにかく
白線の上を歩く

白線を

うまくいくように

うまくいきますように



自由詩 バス停から玄関まで Copyright 七味とうがらし 2007-04-01 14:16:04
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