夕凪蒼想
彌月

指から零れ落ちた

割れたガラスの欠片が

熱で溶けてゆく

炉の高温は素手には耐えられず

赤くなった指先が

悲鳴をあげるまで

熱を発するガラスに手を翳す

心の熱に触れないで
ドロドロに混ざり合う感情を形に変えないで

漣色の泡ガラスに

心模様を移しとり

貴方の前に差し出せば

粉々に砕いてくれますか

朱く染まった蒼い夕凪に

桜の花びら

波にたゆとう





自由詩 夕凪蒼想 Copyright 彌月 2007-03-30 11:05:31
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