カレーライスの誇り
ブルース瀬戸内

どうも、カレーライスです。
ご無沙汰してます。
今日私の身がどうなるか?
そんなことはわかりません。
5分先も分かりません。
明日なんてもっての他です。
飴色のタマネギの頃から
私は現在に勇躍と埋没していましたし
インディアな神秘的な時間感覚が
DNAにクリアに刻まれています。

どうも、カレーライスです。
私の黄金色に煌くルーについて言及すれば
それは何十種類ものスパイスの集合体であるため
ただの野合ではないかとの批判もありますが
そうではありません。
集合体でしか表現できない、
香しき美を目指しているのです。
大仰な言い方をすれば
人生みたいなものです。
あるスパイスは別のスパイスを覚醒し
また別のスパイスと連携することで
スパイス史に見られない進化を遂げます。

どうも、カレーライスです。
様々な肉を狂喜乱舞させます。
トドだって飲み込みます。
「タンパク質の恋人」の座を
ソース連合と争っています。
私の仲間には
ソース連合に加担する裏切り者もいますが
故に彼らはカレーライスへの復帰を阻まれています。
ただ「タンパク質の恋人」の話をすると
ジャガイモやご飯、果ては野菜までが
陰に陽に嫉妬を始めるので
このくらいにしておきます。

どうも、カレーライスです。
今世紀も駆け抜けます。
めくるめくスパイスのミラクルを
とくとご堪能ください。

他の活躍の場を探しあぐねている、
ラッキョウと福神漬けを粗末に扱って
これ以上泣かせないようにしたうえで
ミラクルをご堪能ください。


自由詩 カレーライスの誇り Copyright ブルース瀬戸内 2007-03-29 22:16:22
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