Insert ボタン 超電磁式脳下垂体
狩心
己視点注意報 発令中
己の視点で散歩の途中、ふと、足が止まった
見るからに廃墟と化しているこの家は
幽霊が出ると言われている噂の場所
戦争が起きた後のように瓦礫が散らばっていて
硝子の破片がビュンビュン空中を飛び交い
ドアノブがクルルクルルと回転レシーブお願いします
頭を下げてペコリ、首の骨が折れました
窓という窓
扉という扉
屋根という屋根は全て破壊 または Delete
白い墓場の匂いがする 白く塗り潰して ほらーっ!
土煙からの死臭 竜巻注意報 発令中じゃないのに
土煙から死臭が発生 心臓停止のサイン 電気レシーブから電気ショック
心臓移植から感電死 機能しないボタン 超電磁式脳下垂体
× × × × × × × × × × × × × ×
× ・人の手が入らなくなった ×
・停止した家
× ・5年前まで老人が1人住んでいた ×
・誰の手も入らなくなった家には、雑草が生い茂り、歴史を包み隠そうとしている
× ・停止した町 ×
・停止した人
× ・誰の手も入らなくなった心には、雑草が生い茂り、歴史を包み隠そうとする ×
・人の手が入らなくなった町には、雑草が生い茂り、虫たちの王国
× ・近くの山の一部として取り込まれていく 自然へと還るのだ ×
・古代都市の歴史は、風によって運ばれてきた砂の下に隠されている
× ・消えていく そして 忘れ去られていく ×
・人の手が入らなくなったものは、自然へと還っていく
× ・停止した家の虫たちの王国には、沢山の花が咲き乱れている ×
・とても静かな風景
× ・とても静かな人々のとても静かな心 ×
× × × × × × × × × × × × × ×
2ヵ月後、
その家の前を偶然また通り掛かった
ヨレヨレの洗濯物が干されていて
乾いた風になびいていたが
飛んでいく気配はなかった
もしかしたら私を応援する為に
手を振っていたのかもしれない
土気色燃える地面で革命が勃発
中心に力強い黄色を携えた白い パン パパン パ パンジーが
誰かの手によって備え付けられていた Insert
どうやらまだ、
この家には、誰かが住んでいるようだ
私の革靴がキャラメルのように溶けて津波注意報
浜辺を走る裸足の感覚を取り戻した瞬間
米神に電動ドリルをブッ刺した老人の残像が見えた
物凄いスピードで蠢いている
「こんにちは! いい天気ですね☆」
太陽の高度は頂点を極め 真昼間 眩い光
緑 生い茂る最後の楽園 色とりどりの花 低空飛行する蝶々
現実 と 頭の中 の ズレ
停止していたのは
.この家ではなく.
× ×
× ×
私 の 心
× ×
× ×
超電磁式脳下垂体
自然に還れない者よ
脳の中に手を入れて
←――――――――ホ――――――――→
←――――――――ル――――――――→
←――――――――モ――――――――→
←――――――――ン――――――――→
←――――――――を――――――――→
←――――――――分――――――――→
←――――――――泌――――――――→
←――――――――せ――――――――→
←――――――――よ――――――――→
己の肉眼を信じるな
お前の心
Insert ボタン 超電磁式脳下垂体