正直な鏡
ぽえむ君

鏡は自分にだけは
正直でありたいと思った
常に見るものに
反対のことを教える自分に
罪の意識を感じていた
だからせめて自分だけは
正しいものを正しく見たかった
だがそれは
自分が逆さまになるしかなかった
逆さまの自分は逆さまであって
正直な自分とは反対だった
自分の意志を曲げることはできなかった
こうして悩んでいる中も
現実と理想が理想と現実に映った
二つのうちのどちらを選ぶのか
鏡は悩み考えた
そして鏡はその二つのうちの
どちらも選ばなかった
鏡は自分自身を曲げた
鏡は直角に自分自身を曲げた
現実は理想を映し
その理想を現実に映した
鏡は正直な鏡になった
うれしくなった鏡は
今度は自分の裏側を見たいと
思うようになった


自由詩 正直な鏡 Copyright ぽえむ君 2007-03-28 10:42:57
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