muriel

友達と語る時
相談をする時
恋バナをする時
「海に行って話そう」と海に出かける

心がざわついた時
どうしようもなく悲しい時
寂しい時
海を見たくなり一人で海に出かける

冬の海が好き
ぴんと張り詰めた空気
江ノ島の木々もくっきり見える
人気のない海岸に
やわらかい太陽の光

優しい夕日の色
あじさい色の空と海
ベールをかけたように
水平線もやわらかい
冬の海が好き

今日も心がざわついて
負の感情に押しつぶされそうになる
自分ではどうにもならず
たまらなくなって海まで歩く

とりあえず海を見れば気持ちも落ち着くだろう
そう思って歩いていく
大きな海を見ればきっと癒されるだろう
ちょっと、大部期待して歩いていく

今日の海は湖のように静かだ
弱々しい光線とぼんやりした空の下
ラムネビン色の海が
遠慮がちに波を立てている

私の心のざわつきが大きすぎて
波の音が小さく聞こえる
それでもゆったりとした波の音を聞くと
そんなざわつきも治まってくる

遊歩道から見下ろす
すぐそこに海が迫っている
噂には聞いていたけれど
こんなにひどくなっていたなんて

最後に海岸に沿って歩いたのは
いったいいつだったんだろう
あの日以来かな
15年以上も経っていたなんて

海が近くにありながら
普段はめったに行かないくせに
自分の考えていることが
自分の悩んでいることが
ちっぽけなものだと教えて欲しい時
海に向かう

傷ついた海を目の当たりにして
癒された心もすっきりしない
海からのお土産はちょっぴり重かった



自由詩Copyright muriel 2007-03-27 23:12:48
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