The Butler's in Love ☆
atsuchan69

薔薇色の大理石の壁
ふりそそぐシャンデリアの光
ペルシャ絨毯の幾何学模様を踏んで
白いドレス姿の君が浮き立つ

言い知れぬ暗みと喧騒の中を
艶やかな笑みとともに君が通り過ぎる
氷を砕き、バー・スプーンをつかう 今、
素早い攪拌の中に君がいる

客である君はすこし疲れた様子で
私にアドニスをオーダーする
「えーと、では共感呪術に乾杯! 
「難しいですね・・・・学術用語ですか?
「いいえ。魔術よ

暫くして老紳士が訪れて云った、
「今しがたこの場所にいた娘・・・・
正真正銘のウイッチ(魔女)という噂だが? 
「――まあ、確かに 彼女の好みは、
ジンでもシェリーでもなくウォッカですが
「うん。じつにつまらない駄洒落を聞いてしまった
さっそく酔いがまわってきた気がするね

店じまいの後、
いつものように目にするのは
タクシーを待つ銀座界隈の女たち
やがて黒塗りのリムジンが乱暴に停まる
――彼女の迎えだった
ドアの隙間から男の顔が覗く

私は暗がりのビルの谷間に立って
徐にコートのポケットから、


自由詩 The Butler's in Love ☆ Copyright atsuchan69 2007-03-27 20:43:40
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