瞳を閉じた森
はじめ

 傷だらけのMDウォークマンは充電中美味しそうに電気をどくどくと飲みます
 僕に今はもういない君の声を聞かせる為に全エネルギーを使ってしまったようだね
 少し軽くなったような気がするぞ??
 君が生前に僕に送った長い長いメッセージと君の好きな曲を入れていつも下駄箱の中靴の中に突っ込んでくれていたね
 そんなところに入れちゃあMDが臭くなってしまうよと僕は最初のMDにコメントとミスターチルドレンの『名もなき詩』を入れて君の真似して僕も朝一に学校へ来て君の下駄箱に置いといておいたね
 君はメッセージにそんなこと無いわよ!! と笑い スピッツの『チェリー』を最後に入れた
 僕と君のメッセージと好きな曲はすぐにMDを一杯にし日々が過ぎていく内にMDは山積みになっていったね
 一年の6月から初めて 学年が上がって違うクラスになってもMDの貸し借りは続いたね
 学校では直接話さなくなったけども
 ある日僕は真剣に君に恋してると気が付き MDに告白と僕が生まれて初めて買ったCDである ECHOESの『愛をください』を入れた
 翌日いつものように下駄箱にMDを入れて次の日に戻ってくるのを期待していた
 けど翌日僕の下駄箱にはMDは入っていず 君の下駄箱にも入っていなかった
 君は続けて学校を休んだ 君の数少ない一番仲の良かった友達に聞いてみると 放課後もう一度来て と言われた
 学校が終わって 友達の所へ行くと 君は学校を辞め ここから遠く離れた県の障害者施設に入ったと聞いた
 君は昔好きな人を失った それから心の病に冒されるようになった 僕のことを愛していると言ってくれた けどその人のことを忘れられないと泣いた そして最後にDREAMS COME TRUEの『LOVE LOVE LOVE』を入れて僕の元へ送り 君は睡眠薬自殺した


自由詩 瞳を閉じた森 Copyright はじめ 2007-03-27 05:49:01
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