星と戦争
はじめ

 隣の部屋からヒュー ヒュー ハー と星の荒い呼吸が聞こえてくる
 丘で傷ついた星を偶然見つけて家まで運んできたのだ
 この時間だと病院は開いていないので 家で看病することにした
 手当を済ませたが 熱は一向に下がらなかった
 僕は寝室の隣に星を運んで ベッドに寝かせた
 星は夢の中で魘されているようだった
 熱に浮かされ 母と父を必死で呼んでいた
 僕は一度は自分の寝室に行って眠っていたが 星の病態が気になり再び戻ってきた
 看病して気が付くと朝だった 星の姿は半透明になっていて 病状は落ち着いたようだった 熱を計ってみると平熱に戻っていた 解熱剤が効いたようだ
 星は僕がじっと見ていると意識を取り戻したようで しばらくはぼぉっと天井を眺めていただけだったが、突然目をパチクリさせて僕の顔を見た
 星は元気になったようだった 僕にここは何処? と聞いてきたのでここは僕の家だよと教えてあげた
 僕は星にどうしてあの丘で倒れていたのか聞いてみた
 すると星は夜空で戦争があって(昨日の巨大な流星群のことか)父も母と逃げる時に離ればなれになってしまい 攻撃を受けてしまい この世界に落下してきたのだそうだ
 僕は完全に容態が良くなるまで数日間星の看病をし 宇宙の大将軍に戦争を辞めて頂けないかという旨の内容の手紙を書いて出した しかし何日経っても返事は無く むしろ夜空の様子はどんどん酷くなっていった
 他人には美しく見える夜空でも 星達からにしてみれば残酷な戦争なのだ
 僕がもう少し戦争が終わるまでここに留まっていた方がいいと提案しても 星は夜空へ帰ると言ってきかなかった
 夜 夜空が騒がしい下で僕と星はさよならをした 星はゆっくりと上空へと向かい やがて姿が小さくなって見えなくなっていった
 未だに戦争が続いている 星のその後の消息も戦争の行方も分からない


自由詩 星と戦争 Copyright はじめ 2007-03-27 05:48:20
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